【重要】自社株の評価ルールが約60年ぶりに見直しへ!

目次

  • 事業承継・相続の税負担が増える可能性があります
  • そもそも、何の話?
  • なぜ見直すの?
  • 現在のルール(簡単に)
  • 類似業種比準方式
  • 純資産価額方式
  • 配当還元方式
  • 何が問題とされているの?
  • ① 類似業種比準方式について
  • ② 純資産価額方式について
  • ③ 配当還元方式の還元率(現在10%)について
  • 社長さんへの影響は?
  • 事業承継のコストが上がる
  • 真面目に経営してきた会社ほど影響を受ける
  • 少数株主(役員・従業員)の株の扱いが難しくなる
  • 救済策は議論されている?
  • 今、社長さんがやっておくべきこと

事業承継・相続の税負担が増える可能性があります

そもそも、何の話?

自社株の評価ルール
会社を次の世代に引き継ぐとき(事業承継)や、亡くなったとき(相続)には、社長が持っている自社株に相続税・贈与税がかかります。

その税金を計算するために「自社株を今いくらと評価するか」というルールが国税庁の通達で決まっています。このルールが今、約60年ぶりに大きく見直される可能性があります。

2026年4月20日に国税庁が公表した『取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第1回)』を参照に議論をまとめてみます。

なぜ見直すの?

一部の大企業や富裕層が、税理士や専門家を使った"節税スキーム"で、自社株の評価額を意図的に下げて相続税を大幅に減らすということが横行しています。
国税庁はこれを「脱税に近い行為」と問題視しており、抜け穴をふさぐために評価ルールを作り直そうとしています。

現在のルール(簡単に)

自社株の評価方法は、会社の規模や状況によって主に3つあります。
上場している同業他社の株価をもとに計算する方法。
主に大会社・中会社に適用されます。
会社の資産から負債を引いた"解散したときの価値"で計算する方法。
すべての会社に共通して使われます。
配当金をもとにした簡易計算で、低い評価額になりやすい方法。
少数株主向けに適用されます。

何が問題とされているの?

上場株価をもとに計算するため、株式市場が上がると評価額も上がり、実態とかけ離れることがあります。また、「非上場会社」と「上場会社」は、そもそも性格が違います(非上場株式は自由に売れません)。それなのに上場株価を基準にすること自体おかしい、という意見が出ています。
これは「会社を今すぐ解散したら株主にいくら戻るか」という計算方法です。 しかし、実際には解散せず経営を続けているのに、解散前提の計算で高い税金がかかるのはおかしい、という指摘があります。
専門家から「還元率を引き下げるべき(=評価額を上げるべき)」という声が上がっています。ただし、引き下げると従業員持株会が作りにくくなるなどの副作用も懸念されています。

社長さんへの影響は?

ズバリ言うと、評価額が上がる方向に動く可能性が高いです。
つまり――

自社株の相続税・贈与税の負担が、今より重くなるかもしれません。
特に心配なのは次の点です。
後継者(お子さんなど)に株を引き継ぐときの税金が増え、会社を続けるのが難しくなるケースが出てくる可能性があります。
スキームを使ってこなかった普通の中小企業ほど、ルール変更の影響をまともに受けてしまうという懸念が委員からも出ています。
配当還元方式の評価が厳しくなると、少数株主からの株の買い取りや従業員持株会の運営が難しくなるかもしれません。

救済策は議論されている?

委員からは、評価額を上げるだけでなく、事業承継税制(納税猶予)を使いやすくすべきという意見が多く出ています。ドイツでは自社株の評価を85%減額する制度があり、日本でも同様の対応を求める声があります。

現在の事業承継税制(自社株の納税を猶予・免除する制度)を、もっと幅広く・使いやすくする方向で合わせて見直すことが期待されています。

今、社長さんがやっておくべきこと

今すぐルールが変わるわけではありませんが、議論は始まっています。次のことを顧問税理士と早めに確認しておくことをお勧めします。

1. 自社株の現在の評価額を把握する
2. 事業承継・相続の計画を今一度見直す
3. 事業承継税制(納税猶予)の活用可能性を検討する
4. 今後の有識者会議(次回5月11日)の動向を注視する

ルールが変わる前に打てる手は限られてきますので、早めのご相談をお勧めします。
SUPERVISOR

この記事を監修した人

税理士 野口博充
野口博充税理士事務所
税理士 野口 博充
銀行融資プランナー協会正会員

東京都豊島区東池袋を拠点に、中小企業の税務・会計、資金繰り、銀行対応をサポート。 税務申告だけでなく、財務・経営の面から会社の成長を支援することを重視しています。 経営者の安心と将来への希望につながる財務体質づくりを大切にしています。