いつもお世話になっております。野口博充税理士事務所の野口です。
今回は、フリーランスや副業者に業務委託で報酬を支払っている法人の皆さまに、ぜひ確認いただきたい重要な論点をお伝えします。
【重要】副業者への報酬、「業務委託」でも給与扱いになる?
目次
- 発注側が負うリスクを整理する
- 給与と認定されると何が起きるか
- 判定は「契約書」ではなく「実態」で行われる
- インボイス未登録の相手方への支払いにも注意
- 労働基準法改正でリスクはさらに高まる見通し
- 「労働者」の定義見直し——最大の論点
- 副業・兼業者の労働時間通算ルール見直し
- 発注側法人への影響
- 今すぐ行うべき対応
発注側が負うリスクを整理する
給与と認定されると何が起きるか
契約書に「業務委託」と書いてあっても、税務調査で実態が雇用と認定されれば、次の三つが同時に問題となります。
【消費税】
給与は不課税取引です。仕入税額控除が否認され、過去に控除していた分が全額追徴の対象となります。
【源泉所得税】
徴収・納付漏れとして、不納付加算税と延滞税が課されます。
【社会保険】
雇用保険・健康保険・厚生年金の未加入・未納として、過去数年分が遡及適用される可能性があります。未加入が発覚した場合、各種助成金の申請資格を失うといったペナルティの可能性もあります。
三つが一度に問われるため、影響額は想定外に大きくなります。
【消費税】
給与は不課税取引です。仕入税額控除が否認され、過去に控除していた分が全額追徴の対象となります。
【源泉所得税】
徴収・納付漏れとして、不納付加算税と延滞税が課されます。
【社会保険】
雇用保険・健康保険・厚生年金の未加入・未納として、過去数年分が遡及適用される可能性があります。未加入が発覚した場合、各種助成金の申請資格を失うといったペナルティの可能性もあります。
三つが一度に問われるため、影響額は想定外に大きくなります。
判定は「契約書」ではなく「実態」で行われる
税務署は以下の実態を総合的に見て判断します。複数該当する場合は、給与認定リスクが高まります。
・自社の指示・監督のもとで業務を行わせている
・勤務時間・場所を会社側が指定している
・報酬が成果ではなく時間(時給・日給)に対して支払われている
・機材・ツール・作業スペースを自社が提供している
・自社への専属を求め、他社への同種業務を制限している
・業務未達成でも報酬が発生し、相手方が損失リスクを負わない
・自社の指示・監督のもとで業務を行わせている
・勤務時間・場所を会社側が指定している
・報酬が成果ではなく時間(時給・日給)に対して支払われている
・機材・ツール・作業スペースを自社が提供している
・自社への専属を求め、他社への同種業務を制限している
・業務未達成でも報酬が発生し、相手方が損失リスクを負わない
インボイス未登録の相手方への支払いにも注意
所得区分が業務委託として適正であっても、相手方がインボイス(適格請求書)未登録であれば、仕入税額控除に制限があります。2026年10月以降は控除割合が現行80%から70%へ縮小されます(令和8年度税制改正による緩和措置。当初予定の50%から緩和)。取引先の登録状況の確認と、予算への影響の織り込みをお勧めします。
労働基準法改正でリスクはさらに高まる見通し
2025年1月、厚生労働省「労働基準関係法制研究会」が報告書を公表し、
1987年以来約40年ぶりとなる抜本的な改正の方向性が示されました。
2026年通常国会への法案提出は見送られましたが、審議は継続中であり、
2027年以降の段階的施行が見込まれています。
1987年以来約40年ぶりとなる抜本的な改正の方向性が示されました。
2026年通常国会への法案提出は見送られましたが、審議は継続中であり、
2027年以降の段階的施行が見込まれています。
現行の労働基準法第9条における「労働者」の判断基準(昭和60年・労働基準法研究会報告)は、約40年間実質的に改定されていません。
今回の改正議論の核心は、この基準をギグワーカー・フリーランス・副業者の増加という現実に合わせて見直すことです。厚生労働省内には「労働基準法における『労働者』に関する研究会」が2025年に別途設置され、判断基準の具体的な改定に向けた議論が進んでいます。
改定の方向性として議論されているのは、従来の「使用従属性」一本ではなく、次の複数の要素を加味した判断枠組みへの移行です。
① 事業組織への組み入れ度合い
② 契約内容の一方的・定型的決定
③ 経済的依存性
これが実現すると、現在「業務委託」として処理している取引が、より広い範囲で「労働者への給与」と再判定されるリスクが生じます。
今回の改正議論の核心は、この基準をギグワーカー・フリーランス・副業者の増加という現実に合わせて見直すことです。厚生労働省内には「労働基準法における『労働者』に関する研究会」が2025年に別途設置され、判断基準の具体的な改定に向けた議論が進んでいます。
改定の方向性として議論されているのは、従来の「使用従属性」一本ではなく、次の複数の要素を加味した判断枠組みへの移行です。
① 事業組織への組み入れ度合い
② 契約内容の一方的・定型的決定
③ 経済的依存性
これが実現すると、現在「業務委託」として処理している取引が、より広い範囲で「労働者への給与」と再判定されるリスクが生じます。
複数の会社で働く副業・兼業者の割増賃金算定における労働時間通算ルールの簡素化も予定されています。
運用負担の軽減が主な目的ですが、この改正は副業者を「労働者」として取り扱う実務の定着を後押しする側面もあり、業務委託と雇用の境界線がより厳格に問われる場面が増えると予想されます。
運用負担の軽減が主な目的ですが、この改正は副業者を「労働者」として取り扱う実務の定着を後押しする側面もあり、業務委託と雇用の境界線がより厳格に問われる場面が増えると予想されます。
労働者概念が拡大されれば、現状では適法な業務委託契約であっても、施行後は最低賃金・時間外割増・各種社会保険の適用義務が生じる可能性があります。「改正後に見直せばよい」という考えは危険です。契約実態の整備には一定の時間がかかります。施行前の今こそ、既存契約の点検と再設計を進めておくことが重要です。
今すぐ行うべき対応
✔ 既存の業務委託契約を上記6項目で点検する
✔ 実態が雇用に近ければ、給与に切り替えて源泉徴収・社会保険を適正化する
✔ 業務委託を継続するなら、成果報酬化・他社取引許容・機材の自己負担を、契約と実態の両面で整備する
✔ 支払先のインボイス登録番号を確認し、2026年10月以降の控除縮小を予算に反映する
「業務委託だから問題ない」という思い込みが、消費税・源泉税・社会保険の三つを同時に問われる事態を招きます。過去数年分が遡及される前に、実態の点検をお勧めします。
✔ 実態が雇用に近ければ、給与に切り替えて源泉徴収・社会保険を適正化する
✔ 業務委託を継続するなら、成果報酬化・他社取引許容・機材の自己負担を、契約と実態の両面で整備する
✔ 支払先のインボイス登録番号を確認し、2026年10月以降の控除縮小を予算に反映する
「業務委託だから問題ない」という思い込みが、消費税・源泉税・社会保険の三つを同時に問われる事態を招きます。過去数年分が遡及される前に、実態の点検をお勧めします。
SUPERVISOR
この記事を監修した人
野口博充税理士事務所
税理士
野口 博充
銀行融資プランナー協会正会員
東京都豊島区東池袋を拠点に、中小企業の税務・会計、資金繰り、銀行対応をサポート。 税務申告だけでなく、財務・経営の面から会社の成長を支援することを重視しています。 経営者の安心と将来への希望につながる財務体質づくりを大切にしています。



















