【社長の専門学校】第2回 売り方改革分科会その3

株式会社メイチカは1947年創業の福井県越前市にある製麺業者です。
地元スーパーへの安売り卸業を中心に運営していましたが、業界の価格競争の激化により利益率が低下。
この状況を打破すべく「価格の安さではなく、味で選ばれる麺」を目指し改革に着手しました。
創業70年以上の技術、品質の高いそば粉、井戸水といった強みを再認識し、「高品質なそばづくり」に特化する方向へ舵を切ったのです。
2014年に企業理念として「絶対に美味しいこと」「安心・安全」「健康的」「価値ある価格」「どこにでもある商品ではないこと」を掲げ、新たなステージへ進みました。

メイチカは具体的な戦略として、製造直販にシフトしました。
自社ECサイトや楽天市場でのネット販売、直営店の展開、飲食店向けのキット販売を開始し、ふるさと納税では「そば部門」で34週連続1位を獲得。
また、コラボレーション戦略にも取り組み、ゴディバとチョコレートそばを共同開発するなど、新しい商品展開を行いました。
その一方で、利益率の低い「ゆで麺」の製造を2022年4月に中止。地元特産の高品質なそばを全国に届けることで、価格競争からの脱却と高付加価値化に成功しました。

メイチカの改革は2014年に企業理念を掲げてから、約8年かけて実現されました。
この時間軸の長さが示すように、地道な努力と胆力が成功には不可欠です。
目標を掲げ、途中の試行錯誤を経て、持続的に消費者とつながるチャンネルを構築し続けたことが、そして新たな顧客層の獲得につながりました。
「3年、5年、10年」という時間をかけて一つひとつ地道に取り組むことが、真の変革につながるのです。
製品の品質向上と「高付加価値化」に対する真摯な姿勢が、今後も事業の持続的成長を支えていくことでしょう。

「自社の強みを再認識し、時間軸を長く捉えて地道に改革を進める」。この取り組みは、あらゆる中小企業にとってのヒントとなるでしょう。