【最新情報】「10億宣言」って知っていますか?

目次

  • 「10億宣言」とは
  • 背景にある「生産性」の議論
  • 「10億宣言」はこの転換点に立つ制度
  • ただし、規模拡大が正解とは限りません
今回は、中小企業庁が検討している新制度「10億宣言」を題材に、 会社の「規模」について考えてみたいと思います。

「10億宣言」とは

10億宣言_最適な成長戦略
中小企業庁は、2026年5月20日に開催された中小企業政策審議会で、売上高1億~10億円未満の企業を対象に、 経営者が「売上高10億円規模への成長」を宣言し、金融機関の伴走支援や補助金とセットで後押しする新制度の創設を検討していることを公表しました。
先行する「100億宣言」(売上高10~100億円企業向け)の弟分にあたる位置づけで、対象企業は全国に約60万社にのぼります。

背景にある「生産性」の議論

この発想の土台には、ゴールドマン・サックス出身のデービッド・アトキンソン氏が長年提起してきた問題意識があります。同氏の主張は「中小企業を淘汰せよ」という単純なものではなく、 「生産性が低い中小企業に働く労働者の割合が高すぎる」 という指摘です。
日本企業の99.7%を中小企業が占める中で、大企業との生産性の差はデータ上明確であり、これは規模の経済が働いている結果だとされます。

人口が増えていた時代は、黙っていても売上が伸び、賃金も上がりました。
しかし人口減少下では、規模を拡大し一人当たりの生産性を高めることなしに、賃上げも社会保障の持続も難しくなります。
さらに同氏は、中小企業向けの手厚い優遇策が、設備投資や賃上げへの意欲をむしろ削いでいる可能性も指摘しています。

「10億宣言」はこの転換点に立つ制度

政府が掲げる「付加価値労働生産性の5年で15%向上」という目標は、価格転嫁・新製品開発による付加価値増加と、自動化・省力化による労働投入量の最適化という、規模拡大を後押しする発想そのものです。
「中小企業だから優遇する」のではなく「成長を目指す企業を支援する」という政策の転換が、ここにも表れています。

ただし、規模拡大が正解とは限りません

一方で、「中小企業」を一括りに語ることへの批判も根強くあります。
小規模企業の中にも大企業の中央値を上回る高生産性企業は多数存在し、売上規模だけを追えば利益率が悪化するケースも実務ではよく見られます。
大切なのは「拡大すべき会社」と「今の規模で高収益を保つべき会社」を見極めることです。

制度の正式な開始(2027年度を目標に検討中)に向けて、決算書の磨き込みや金融機関との関係強化など、今から準備できることは多くあります。
ご自身の会社にとって規模拡大が本当に必要か、一度整理してみませんか。
お気軽にご相談ください。
SUPERVISOR

この記事を監修した人

野口博充税理士事務所
税理士 野口 博充
銀行融資プランナー協会正会員

東京都豊島区東池袋を拠点に、中小企業の税務・会計、資金繰り、銀行対応をサポート。 税務申告だけでなく、財務・経営の面から会社の成長を支援することを重視しています。 経営者の安心と将来への希望につながる財務体質づくりを大切にしています。

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