つまらない質問に聞こえるかもしれません。売るのは既存の自社商品・サービスに決まっているでしょう。もちろん今まで取り組んだことのない新しい商品・サービスを開発して勝負するという考え方もあります。しかし初めて取り組む事業については成功するか失敗するか分からないものです。経験やノウハウのない新しい商品・サービスを展開するのは資金的にも厳しいものがあります。よって新商品・新サービスで勝負に出るのは得策ではないでしょう。
しかし、自社の商品・サービスがそもそも何であるのかについては、深く考えてみる必要はあるかと思います。
自社の商品・サービスをより一般化・抽象化してみると、今とは異なった分野や業界・販売形態への応用ができることがあります。
例えばアパレル業界は、コロナ禍の影響もあり、自社製品の一般化・抽象化を進めて生き残りをかけています。
アパレル業界が販売する商品は従来からあたりまえですが「服」です。
しかし「服」を買い求める顧客は、本当に「服」を欲しがっていたのでしょうか?
この「そもそも何を売っているのか?」という省察により、一部のアパレル業は自社の取り扱う「服」という商品を、顧客の視点から読み替えました。顧客がほしがっているのは「服」ではなく、「かっこいい身なりや着こなし」であると視点を変えたのです。
結果、アパレル業界では新しい販売スタイルが生まれつつあります。服を売る「店舗」ではなくコーディネイト機能を充実させた「試着店舗」を出店し、実店舗でコーディネイトを試し、実際の商品はネットで購入するというスタイルです。